最終確認日:2026年7月7日
介護施設の現場では、処遇改善加算はすでに毎月の運営に組み込まれ、計算方法や配分ルールまで詳しい、という施設長・管理者の方は多いはずです。一方で、賃上げ・省力化・人材確保・設備投資のために使える補助金・助成金については、「名前は聞いたことがあるが、自分の施設が対象かは分からない」という状態のまま見過ごされがちです。
補助金・助成金は、種類が多く、対象や締切もばらばらです。すべてを把握しようとすると混乱するので、最初に「自分は何をしたいのか」を決め、そこから制度を引く方が現実的です。
この記事は、介護事業者が検討しやすい補助金・助成金を目的別に整理し、それぞれの詳しい解説記事へ案内するための入口ページです。補助率や上限額、締切といった具体的な数字は、各制度の解説記事で確認してください。
処遇改善加算と補助金・助成金は別もの(最初に整理)
まず整理しておきたいのは、処遇改善加算と、これから紹介する補助金・助成金は仕組みが違うという点です。
処遇改善加算は「介護報酬の加算」であり、毎月の介護報酬に上乗せされる形で支給されます。一方、これから紹介する補助金・助成金の多くは一時金的な制度で、公募に対して申請し、審査を経て採否が決まります。申請すれば必ず受給できるとは限りません。
処遇改善加算の計算方法や職員への配分の考え方については、処遇改善加算シミュレーションの使い方、または処遇改善加算シミュレーターで詳しく扱っています。本記事では、それとは別枠の補助金・助成金に絞って紹介します。
目的別:介護事業者が検討しやすい制度
| やりたいこと | 検討しやすい制度 | 介護現場での例 |
|---|---|---|
| 賃上げ・最低賃金対応 | 業務改善助成金・キャリアアップ助成金 | 記録・送迎の効率化設備+賃上げ、パート職員の正社員化 |
| 人手不足・省力化(介護ロボット・ICT) | 省力化投資補助金・介護テクノロジー導入支援事業(都道府県) | 見守りセンサー、インカム、介護記録ソフト |
| IT・AI導入 | デジタル化・AI導入補助金 | 勤怠・請求・シフト管理システム |
| 外国人材の受け入れ | 外国人材を雇用する企業が使える補助金・助成金 | 採用・定着・研修・書類整備 |
| 設備投資・新サービス | ものづくり補助金・小規模事業者持続化補助金 | 新サービス開発、集客・広報 |
この表は入口です。実際は業種・従業員数・投資内容・申請時期・賃上げ要件などの確認が必要で、公募状況は必ず公式で確認してください。
賃上げ・処遇改善に使う(業務改善助成金・キャリアアップ助成金)
最低賃金の引き上げ対応や、パート・非常勤職員の待遇改善を考えている場合に検討しやすい制度です。
- 記録業務や送迎業務を効率化する設備とあわせた賃上げ
- 有期雇用のパート職員を正社員化する際の助成
詳しくは業務改善助成金の解説、キャリアアップ助成金の解説で確認してください。
人手不足・省力化に使う(省力化投資補助金・介護テクノロジー導入支援事業)
慢性的な人手不足への対応として、見守りセンサーや介護記録ソフトなどの導入を検討している場合に関係する制度です。
介護ロボット・ICT導入を支援する「介護テクノロジー導入支援事業」は、国の地域医療介護総合確保基金を財源に、各都道府県が実施主体となって行っています。対象機器や補助の内容、受付時期は都道府県ごとに異なるため、詳細はお住まいの都道府県の窓口・公式案内で確認が必要です。
- 見守りセンサー、インカムによる夜勤負担の軽減
- 介護記録・請求業務のシステム化
国の制度としては省力化投資補助金の解説もあわせてご確認ください。
IT・AI導入に使う(デジタル化・AI導入補助金)
シフト管理や勤怠、請求業務のシステム化など、ITツール導入にかかる費用を対象とする制度です。
- 勤怠・シフト管理システムの導入
- 請求業務のデジタル化
詳しくはデジタル化・AI導入補助金の解説で確認してください。
外国人材の受け入れに使う
外国人介護人材の採用・定着を進める事業者向けに、採用活動や研修、書類整備にかかる費用を対象とする制度があります。
- 採用活動費、日本語研修・技能研修
- 在留資格関連の書類整備
詳しくは外国人材を雇用する企業が使える補助金・助成金で確認してください。
設備投資・新サービスに使う(ものづくり補助金・小規模事業者持続化補助金)
新しいサービスの立ち上げや、集客・広報にかかる費用を対象とする制度です。
- 新サービスの開発、設備導入
- ホームページ制作や広報物の作成
詳しくはものづくり補助金の解説、小規模事業者持続化補助金の解説で確認してください。
自分の地域の制度も忘れずに
介護事業者向けの支援は、国の制度に加えて都道府県・市区町村の独自制度も多くあります。たとえば福岡県の介護事業者向け補助金・支援制度まとめのように、地域限定でまとまった情報が出ている自治体もあります。他の地域にお住まいの場合は、「お住まいの自治体名+補助金」で検索して確認してみてください。
主要な制度の対象者・締切をまとめて見たい場合は、Dawnlight 補助金診断の補助金一覧からも確認できます。
どれが自社に合うか分からないときは
申請の全体の流れを先に知りたい場合は、補助金申請の流れを参考にしてください。
制度の数が多く、どれが自社に合うか判断がつかないという場合は、まず「何を実現したいか」から絞り込むのが近道です。それでも選びきれないときは、補助金診断のような、法人番号や会社名から候補となる制度を整理してくれるツールを、申請の下準備として使う方法もあります。
まとめ
- 処遇改善加算と補助金・助成金は仕組みが別。併用の検討余地がある
- 補助金・助成金は「何をしたいか」から目的別に探すのが近道
- 都道府県・市区町村の独自制度も忘れずに確認する
- 補助金・助成金には審査があり、申請すれば必ず受給できるわけではない
よくある質問
処遇改善加算をもらっていても、補助金・助成金は使えますか?
処遇改善加算は介護報酬の加算、補助金・助成金は公募・審査を経る別の制度です。性質が異なるため併用を検討できますが、それぞれの制度で対象要件を個別に確認する必要があります。
介護施設でも業務改善助成金やキャリアアップ助成金は使えますか?
労働者を雇用している介護事業者であれば、対象になり得ます。ただし事業所の規模や雇用形態などの要件は制度ごとに異なるため、詳細は各制度の解説記事や公式情報で確認してください。
介護ロボットやICTの補助金はどこに申し込むのですか?
介護テクノロジー導入支援事業は、都道府県が実施主体となって行っています。受付時期や対象となる機器は都道府県ごとに異なるため、お住まいの都道府県の窓口や公式案内で確認してください。
どの補助金が自社に合うか分かりません。
まずは「賃上げをしたいのか」「省力化をしたいのか」など、実現したいことから絞り込むのがおすすめです。それでも判断がつかない場合は、補助金診断で候補となる制度を整理してから、個別に要件を確認するという進め方もあります。特定の制度の採択を保証するものではありません。