最終確認日:2026年5月30日
外国人材の採用を検討する中小企業は増えています。人手不足への対応、海外展開、インバウンド対応、IT人材の確保、現場人材の確保など、理由は業種によってさまざまです。
ただし、外国人材を雇用する場合は、日本人採用と同じように求人を出して雇用契約を結ぶだけでは不十分です。在留資格、労働条件、雇用契約書、就業規則、言語対応、職場定着、日本語研修、生活面の支援など、確認すべき点が多くあります。
そのため、外国人材の雇用では「採用費を補助してもらう」だけでなく、採用後に長く働いてもらうための環境整備が重要になります。
外国人材雇用に関連して検討しやすい制度には、主に次のようなものがあります。
| 目的 | 検討しやすい制度 |
|---|---|
| 外国人労働者の職場定着・就労環境整備 | 人材確保等支援助成金 外国人労働者就労環境整備助成コース |
| 非正規雇用から正社員化・処遇改善 | キャリアアップ助成金 |
| 日本語研修・業務研修・リスキリング | 人材開発支援助成金 |
| 最低賃金引上げと設備投資 | 業務改善助成金 |
| IT・AI導入による業務効率化 | デジタル化・AI導入補助金 |
| 省力化・人手不足対策 | 省力化投資補助金 |
| 新事業・インバウンド・海外展開 | ものづくり補助金、中小企業新事業進出補助金など |
この記事では、外国人材を雇用する企業が確認したい補助金・助成金・関連制度を、採用前、雇用時、定着支援、研修、業務改善の流れに沿って整理します。
まず理解したい:外国人雇用で使える制度は「採用費補助」だけではない
外国人材雇用に関する支援制度を探すとき、多くの企業は「外国人を採用したらもらえる補助金」を探します。
しかし、実際には、外国人を採用するだけで一律に支給される全国共通の大型補助金は限られています。むしろ重要なのは、次のような周辺領域です。
- 外国人労働者が働きやすい職場環境を整える
- 就業規則や雇用契約書をわかりやすくする
- 日本語や業務スキルを研修する
- 非正規雇用から正社員化する
- 業務効率化により賃上げ原資を作る
- 多言語対応やインバウンド対応を進める
- 人手不足対策として省力化投資を行う
厚生労働省の「人材確保等支援助成金 外国人労働者就労環境整備助成コース」は、外国人労働者特有の事情に配慮した就労環境整備を行い、職場定着に取り組む事業主を支援する制度です。外国人労働者は日本の労働法制や雇用慣行、言語の違いにより、労働条件や解雇などをめぐるトラブルが生じやすいと説明されています。(厚生労働省)
つまり、外国人雇用で使える支援制度は、「採用する瞬間」よりも、採用後に安心して働ける仕組みを作ることに重点があります。
外国人材雇用で最初に確認すべき5つの論点
補助金や助成金を探す前に、まず次の5つを整理しましょう。
1. 在留資格と業務内容が合っているか
外国人材を雇用する場合、在留資格と実際の業務内容が一致している必要があります。たとえば、エンジニア、通訳、営業、製造、介護、外食、宿泊など、職種によって確認すべき在留資格が異なります。
補助金・助成金の前に、そもそもその人がその業務で働けるかを確認する必要があります。
2. 雇用契約書・労働条件通知書を正しく整備しているか
外国人労働者とのトラブルで多いのは、賃金、労働時間、残業、休日、契約期間、解雇、配置転換などの認識違いです。
日本語だけの雇用契約書を渡しても、本人が内容を十分に理解できていなければ、後からトラブルになる可能性があります。
3. 就業規則や社内ルールを理解できる形にしているか
遅刻・欠勤、残業、休暇、評価、懲戒、ハラスメント、情報管理など、社内ルールは外国人労働者にも適用されます。
ただし、日本語や日本の雇用慣行に不慣れな人には、ルールの背景が伝わりにくい場合があります。就業規則等の多言語化は、外国人労働者就労環境整備助成コースでも就労環境整備措置の例として挙げられています。(厚生労働省)
4. 日本語・業務スキル・安全教育をどう行うか
外国人材の定着には、入社時研修だけでなく、継続的な教育が重要です。
特に、製造、建設、介護、宿泊、外食などでは、安全衛生、接客、報連相、記録業務、顧客対応など、日本語能力だけではなく業務理解も必要になります。
5. 採用後の定着率をどう管理するか
助成金の中には、離職率目標などが関係するものがあります。外国人材を採用しても、短期間で退職してしまえば、採用コストも教育コストも回収できません。
採用前から、オンボーディング、相談窓口、メンター制度、評価制度、生活面の支援、キャリアパスを設計することが重要です。
1. 人材確保等支援助成金:外国人労働者就労環境整備助成コース
外国人材を雇用する企業が最初に確認したい制度が、人材確保等支援助成金 外国人労働者就労環境整備助成コースです。
この制度は、外国人労働者が働きやすい職場環境を整え、職場定着を図る事業主を支援する助成金です。厚生労働省は、外国人特有の事情に配慮した就労環境整備を行い、外国人労働者の職場定着に取り組む事業主に対して助成するものと説明しています。(厚生労働省)
主な対象イメージ
この助成金は、次のような企業に向いています。
- 外国人労働者を雇用している
- 外国人労働者の離職を防ぎたい
- 労働条件や社内ルールの誤解を減らしたい
- 就業規則や雇用契約書を多言語化したい
- 相談体制や責任者を整備したい
- 外国人労働者が安心して働ける職場を作りたい
就労環境整備措置の例
厚生労働省の案内では、外国人労働者就労環境整備助成コースについて、就業規則等の多言語化などを通じて、外国人労働者の職場定着に取り組む事業主に対して助成すると説明されています。(厚生労働省)
検討しやすい取り組みとしては、次のようなものがあります。
| 整備内容 | 具体例 |
|---|---|
| 雇用労務責任者の選任 | 外国人労働者からの相談対応、労務管理責任者の明確化 |
| 就業規則等の多言語化 | 就業規則、雇用契約書、労働条件通知書、社内ルールの翻訳 |
| 苦情・相談体制 | 相談窓口、定期面談、トラブル対応フロー |
| 一時帰国制度 | 母国への一時帰国に関する制度整備 |
| 社内マニュアル整備 | 安全衛生、勤怠、評価、情報管理などの説明資料 |
助成額の考え方
厚生労働省の人材確保等支援助成金案内では、外国人労働者就労環境整備助成コースについて、1制度導入につき20万円、上限80万円と案内されています。(厚生労働省)
ただし、助成額や要件は年度によって変更される可能性があります。申請時には、必ず最新の支給要領、パンフレット、Q&Aを確認してください。
この制度の注意点
この助成金は、単に外国人を採用しただけで支給される制度ではありません。
重要なのは、外国人労働者の就労環境を実際に整備し、職場定着につなげることです。主な要件として、就労環境整備措置の導入・実施や離職率目標の達成などが挙げられています。(厚生労働省)
そのため、次のような準備が必要です。
- 現在の外国人労働者の人数
- 離職状況
- 既存の就業規則・雇用契約書
- 多言語化したい書類
- 相談体制
- 労務管理責任者
- 導入する制度の内容
- 実施後の定着状況
2. キャリアアップ助成金:非正規雇用の正社員化・処遇改善に使える制度
外国人材を有期雇用、契約社員、パート、アルバイトなどで雇用している場合は、キャリアアップ助成金も確認したい制度です。
キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者など、いわゆる非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善に取り組む事業主を支援する制度です。厚生労働省は、2026年度版のパンフレットやQ&Aを公開しており、正社員転換や賃金アップに向けた取り組みに活用できる制度として案内しています。(厚生労働省)
外国人材でも対象になり得るケース
キャリアアップ助成金は「外国人専用」の助成金ではありません。 しかし、対象となる雇用形態や要件を満たせば、外国人労働者の正社員化や処遇改善でも検討対象になります。
たとえば、次のようなケースです。
- 有期雇用の外国人スタッフを正社員に転換する
- パート・アルバイトの外国人スタッフの賃金規定を改定する
- 短時間労働者の労働時間を延長する
- 契約社員として働く外国人材にキャリアパスを用意する
- 非正規雇用から安定雇用へ移行する
主なコース
キャリアアップ助成金には複数のコースがあります。2026年度版の案内では、正社員化コース、賃金規定等改定コース、短時間労働者労働時間延長支援コースなどが案内されています。(厚生労働省)
| コース | 向いているケース |
|---|---|
| 正社員化コース | 有期雇用・無期雇用・派遣労働者等を正社員化する |
| 賃金規定等改定コース | 非正規雇用労働者の賃金規定を改定し、賃金を引き上げる |
| 賃金規定等共通化コース | 正社員と非正規雇用労働者の賃金制度を整える |
| 賞与・退職金制度導入コース | 非正規雇用労働者に賞与・退職金制度を導入する |
| 短時間労働者労働時間延長支援コース | 短時間労働者の労働時間を延長し、処遇改善を行う |
注意点
キャリアアップ助成金を使う場合は、就業規則や賃金規定の整備が重要です。
外国人労働者の場合、在留資格と雇用形態の整合性も確認する必要があります。正社員化した結果、業務内容や雇用条件が在留資格に合わなくなると問題になる可能性があります。
申請前に確認したいポイントは次のとおりです。
- 対象労働者の雇用形態
- 雇用契約書の内容
- 就業規則・賃金規定
- 正社員転換ルール
- 転換前後の賃金
- 在留資格と業務内容
- 社会保険・労働保険の加入状況
3. 人材開発支援助成金:日本語研修・業務研修・リスキリングに使える可能性
外国人材の定着には、採用後の教育が欠かせません。
日本語能力、ビジネスコミュニケーション、安全衛生、接客、介護記録、ITスキル、マネジメントなど、職種によって必要な研修は異なります。
このような研修で確認したいのが、人材開発支援助成金です。
厚生労働省は、人材開発支援助成金について、職務に関連した専門的な知識・技能を習得させるための訓練等を実施した事業主を支援する制度として案内しています。2026年時点では、人材育成支援コース、教育訓練休暇等付与コース、人への投資促進コース、事業展開等リスキリング支援コースなど複数のコースがあります。(厚生労働省)
外国人材向けに検討しやすい研修
外国人材向けの研修としては、次のようなものが考えられます。
| 研修内容 | 目的 |
|---|---|
| 業務日本語研修 | 報連相、接客、電話対応、記録業務など |
| 安全衛生研修 | 製造、建設、介護、食品関連などの事故防止 |
| 介護・外食・宿泊等の専門研修 | 職種別スキル向上 |
| IT・デジタル研修 | 業務システム、データ入力、AI活用など |
| リーダー研修 | 将来の現場リーダー育成 |
| コンプライアンス研修 | ハラスメント、情報管理、労働ルール理解 |
日本語研修は対象になるのか
日本語研修が対象になるかどうかは、研修内容や制度上の要件によって変わります。単なる日常会話ではなく、職務に関連した能力向上として説明できるかが重要です。
たとえば、介護記録、接客対応、現場指示、安全確認、報告書作成など、業務に直接関係する日本語研修であれば、検討しやすくなります。
申請時には、次のような情報を整理しましょう。
- 研修の目的
- 対象者
- 研修時間
- カリキュラム
- 職務との関係
- 研修費用
- 実施機関
- 研修後に期待される効果
4. 業務改善助成金:最低賃金引上げと設備投資をセットで考える制度
外国人労働者を含め、最低賃金に近い従業員がいる事業場では、業務改善助成金も確認したい制度です。
業務改善助成金は、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げるとともに、生産性向上につながる設備投資等を行う場合に、その費用の一部を助成する制度です。厚生労働省は、機械設備導入やコンサルティングなどの設備投資を行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合に費用の一部を助成すると説明しています。(厚生労働省)
外国人材雇用との関係
外国人材を雇用する現場では、次のような課題が起きやすくなります。
- 人手不足で既存スタッフの負担が大きい
- 日本語対応に時間がかかる
- 教育担当者の負担が重い
- 紙や手作業が多く、ミスが起きやすい
- 低賃金のままでは定着しない
- 賃上げしたいが、利益率が低い
業務改善助成金は、賃上げと生産性向上をセットで考える制度です。たとえば、POSレジ、予約システム、翻訳・記録支援ツール、在庫管理システム、介護記録システム、製造設備などを導入し、作業時間を減らして賃上げ原資を作る考え方です。
向いている業種
| 業種 | 活用イメージ |
|---|---|
| 飲食 | セルフオーダー、POSレジ、予約管理、厨房機器 |
| 小売 | 在庫管理、セルフレジ、販売管理 |
| 介護 | 記録システム、見守り機器、移乗補助設備 |
| 宿泊 | チェックイン効率化、予約管理、多言語案内 |
| 製造 | 機械設備、検査装置、作業効率化 |
| 清掃・ビルメンテナンス | 作業管理システム、清掃機器 |
注意点
業務改善助成金は、従業員がいない事業者は対象になりません。また、すでに賃金引上げや設備投資を行った後に申請しても対象外になる可能性があります。厚生労働省は、事業場内最低賃金の引上げや設備投資等は、これから実施するものが対象になると注意喚起しています。(厚生労働省)
5. デジタル化・AI導入補助金:外国人材受入れの業務負担を減らす
外国人材を雇用すると、労務管理、教育、勤怠、シフト、社内連絡、書類管理、評価、面談記録などの業務が増えます。
これらの業務を効率化するために、IT・AIツール導入を検討する場合は、デジタル化・AI導入補助金のようなIT導入系制度も候補になります。
たとえば、次のような導入が考えられます。
| 課題 | 導入例 |
|---|---|
| 勤怠管理が複雑 | 勤怠管理システム |
| シフト作成に時間がかかる | シフト管理ツール |
| 教育進捗が見えない | LMS・研修管理システム |
| 書類管理が紙中心 | 労務管理クラウド |
| 問い合わせ対応が多い | FAQ・チャットボット |
| 多言語対応が必要 | 多言語対応ツール、翻訳支援ツール |
| 評価・面談記録が属人化 | 人事評価システム |
外国人雇用そのものを補助する制度ではなくても、外国人材を受け入れるための業務基盤整備として、IT導入系補助金が役立つ場合があります。
ただし、IT系補助金は、対象ツールや申請枠が決まっていることが多いため、導入したいツールが制度上の対象になるかを確認する必要があります。
6. ものづくり補助金・新事業進出補助金:インバウンド・海外展開・新サービスに関係する場合
外国人材の雇用が、単なる人手不足対策ではなく、会社の新しい事業戦略と関係している場合は、ものづくり補助金や中小企業新事業進出補助金も候補になります。
たとえば、次のようなケースです。
- 外国人スタッフを採用し、インバウンド向けサービスを始める
- 多言語対応の新サービスを開発する
- 海外顧客向けECを始める
- 外国人エンジニアを採用して新しいITサービスを開発する
- 海外展開に向けた製品改良を行う
- 宿泊・観光・外食で新しい体験型サービスを作る
この場合、補助金の対象は「外国人を雇うこと」ではなく、新製品・新サービス・新市場進出・生産性向上のための投資です。
外国人材は、その事業を実行するための人材戦略の一部として位置づける必要があります。
外国人材雇用で補助金・助成金を使う前のチェックリスト
外国人材を雇用する企業は、制度を探す前に次の項目を確認しましょう。
採用前
- 採用したい職種が明確か
- 必要な日本語レベル・業務スキルが明確か
- 在留資格と業務内容が一致しているか
- 雇用形態を決めているか
- 採用後の教育体制があるか
雇用契約・労務管理
- 雇用契約書を整備しているか
- 労働条件通知書を正しく交付できるか
- 就業規則を整備しているか
- 給与・残業・休日・有給休暇の説明ができるか
- 社会保険・労働保険の加入を確認しているか
多言語対応・定着支援
- 就業規則や重要書類を理解できる形にしているか
- 相談窓口があるか
- 雇用労務責任者を決めているか
- 定期面談を行う体制があるか
- 文化・言語の違いによる誤解を防ぐ仕組みがあるか
研修・キャリア形成
- 日本語研修が必要か
- 業務研修が必要か
- 安全衛生教育が必要か
- 正社員化や昇給のルールがあるか
- キャリアパスを説明できるか
補助金・助成金
- どの制度が目的に合っているか
- 申請前に実施していないか
- 就業規則・賃金規定が整っているか
- 見積書や証憑を準備できるか
- 申請後の実績報告に対応できるか
よくある失敗
失敗1:外国人を採用すれば補助金が出ると思っている
外国人雇用に関する支援制度は、単に採用した事実だけで支給されるものではありません。多くの場合、就労環境整備、研修、正社員化、賃上げ、業務改善など、具体的な取り組みが必要です。
失敗2:在留資格の確認を後回しにする
助成金の前に、在留資格と業務内容の確認が必要です。在留資格に合わない業務をさせると、企業側にも大きなリスクがあります。
失敗3:雇用契約書や就業規則を日本語だけで済ませる
法律上は日本語の書類が中心になる場合でも、本人が理解できなければトラブルの原因になります。外国人労働者就労環境整備助成コースでも、就業規則等の多言語化が就労環境整備の例として挙げられています。(厚生労働省)
失敗4:採用後の教育を現場任せにする
外国人材の定着には、現場の努力だけでは限界があります。日本語、業務ルール、安全衛生、評価制度、相談体制を会社として整える必要があります。
失敗5:助成金のために無理な制度を作る
助成金を受けるためだけに形だけの制度を作っても、現場で使われなければ意味がありません。助成金は、実際に定着率や生産性を上げる取り組みとセットで考えるべきです。
失敗6:申請前に発注・実施してしまう
助成金・補助金の多くは、交付決定前や計画届提出前に実施したものが対象外になる可能性があります。申請前に契約、発注、購入、賃金改定、研修実施を進める前に、制度の要件を確認しましょう。
制度別:どのような企業に向いているか
| 企業の状況 | 検討しやすい制度 |
|---|---|
| 外国人労働者の定着率を上げたい | 人材確保等支援助成金 外国人労働者就労環境整備助成コース |
| 雇用契約書・就業規則を多言語化したい | 人材確保等支援助成金 外国人労働者就労環境整備助成コース |
| 有期雇用の外国人スタッフを正社員化したい | キャリアアップ助成金 |
| 外国人スタッフの賃金制度を改善したい | キャリアアップ助成金 |
| 日本語研修・業務研修を行いたい | 人材開発支援助成金 |
| 最低賃金近くの従業員を賃上げしたい | 業務改善助成金 |
| 外国人材受入れに伴う業務管理を効率化したい | デジタル化・AI導入補助金 |
| 人手不足を設備投資で補いたい | 省力化投資補助金 |
| インバウンド・海外向け新事業を始めたい | ものづくり補助金、中小企業新事業進出補助金 |
申請前に準備しておきたい書類・情報
外国人材雇用に関連する助成金・補助金を検討する場合、次の情報を早めに整理しておくとスムーズです。
| 準備項目 | 内容 |
|---|---|
| 外国人労働者の雇用状況 | 人数、雇用形態、在留資格、職種 |
| 雇用契約書 | 労働条件、契約期間、賃金、業務内容 |
| 就業規則 | 勤怠、休暇、評価、懲戒、退職、服務規律 |
| 賃金台帳 | 賃金水準、昇給、賞与、最低賃金確認 |
| 出勤簿・勤怠記録 | 労働時間、残業、休日 |
| 多言語化対象書類 | 雇用契約書、就業規則、マニュアルなど |
| 研修計画 | 日本語研修、業務研修、安全教育 |
| 相談体制 | 雇用労務責任者、相談窓口、面談記録 |
| 設備投資計画 | システム、機械、業務改善ツール |
| 見積書 | 翻訳、研修、システム、設備など |
| 離職率・定着率 | 助成金要件に関係する場合がある |
| 実施スケジュール | 申請、交付決定、実施、報告 |
よくある質問
Q1. 外国人を採用すると必ず補助金が出ますか?
いいえ。外国人を採用しただけで必ず受け取れる補助金ではありません。多くの制度は、就労環境整備、正社員化、研修、賃上げ、設備投資など、具体的な取り組みを行う場合に対象となります。
Q2. 雇用契約書や就業規則の多言語化は助成対象になりますか?
人材確保等支援助成金の外国人労働者就労環境整備助成コースでは、就業規則等の多言語化などが就労環境整備措置の例として挙げられています。(厚生労働省) ただし、実際に対象となるかは、最新の支給要領や申請内容によって確認が必要です。
Q3. 外国人労働者の日本語研修に使える助成金はありますか?
人材開発支援助成金が候補になる場合があります。ただし、単なる日常会話ではなく、職務に関連した知識・技能の習得として説明できるかが重要です。厚生労働省は、人材開発支援助成金について、職務に関連した専門的な知識・技能を習得させるための訓練等を支援する制度として案内しています。(厚生労働省)
Q4. 外国人のアルバイトを正社員にする場合、キャリアアップ助成金は使えますか?
要件を満たせば検討対象になります。キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善を支援する制度です。(厚生労働省) ただし、在留資格、雇用形態、就業規則、賃金規定、転換手続きなどを確認する必要があります。
Q5. 外国人材を雇うための求人広告費は補助対象になりますか?
全国共通の制度で、外国人採用の求人広告費だけを広く補助する制度は限られます。ただし、新事業、インバウンド対応、販路開拓、雇用環境整備などの一部として広告宣伝費や外注費が関係する制度はあります。制度ごとに対象経費を確認しましょう。
Q6. 採用後に助成金を申請できますか?
制度によります。多くの助成金・補助金では、計画届や交付申請の前に実施した取り組みは対象外になる可能性があります。採用、正社員化、研修、翻訳、設備投資を進める前に、申請タイミングを確認してください。
Q7. 外国人材雇用では、社労士・行政書士・税理士の誰に相談すべきですか?
労務管理、就業規則、雇用契約、助成金は社労士に相談することが多いです。在留資格や入管手続きは行政書士が専門領域です。税制優遇や会計処理は税理士に相談します。複数の論点が関係するため、必要に応じて専門家を分けて相談するのが安全です。
まとめ:外国人材雇用の支援制度は「採用」よりも「定着」と「環境整備」が重要
外国人材を雇用する企業が使える補助金・助成金は、単に「外国人を採用したらもらえるお金」ではありません。
重要なのは、外国人材が安心して働き、長く定着し、会社の戦力になるための環境を整えることです。
特に確認したい制度は次のとおりです。
- 外国人労働者の職場定着を支援する 人材確保等支援助成金 外国人労働者就労環境整備助成コース
- 非正規雇用から正社員化・処遇改善を支援する キャリアアップ助成金
- 日本語研修・業務研修・リスキリングを支援する 人材開発支援助成金
- 最低賃金引上げと設備投資を支援する 業務改善助成金
- 業務管理・教育・労務管理の効率化に関係する IT・AI導入系補助金
- インバウンド・海外展開・新事業に関係する ものづくり補助金・新事業進出補助金
外国人材の採用は、求人を出すところから始まるのではありません。 本当に重要なのは、採用前に業務内容、在留資格、雇用条件、教育体制、社内ルール、相談体制を整えておくことです。
補助金・助成金は、その整備を後押しするための手段です。制度に合わせて無理に取り組みを作るのではなく、自社に必要な採用・定着・育成の仕組みを先に考え、その取り組みに合う制度を選ぶことが大切です。