最終確認日:2026年5月30日
キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者など、いわゆる非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善に取り組む事業主を支援する助成金です。
厚生労働省は、キャリアアップ助成金について、有期雇用労働者等の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化や処遇改善の取り組みを実施した事業主に対して助成する制度と説明しています。2026年度版のパンフレット・リーフレット・Q&Aも、2026年4月8日に公開されています。(厚生労働省)
この助成金は、単に「非正規社員を雇っている会社がもらえるお金」ではありません。重要なのは、対象労働者の雇用形態、就業規則、賃金規定、正社員転換制度、賃上げ、労働時間、社会保険加入などを、制度に沿って整備することです。
特に中小企業では、次のような場面で検討しやすい制度です。
| 目的 | 検討しやすいコース |
|---|---|
| 契約社員・パート・アルバイトを正社員化したい | 正社員化コース |
| 非正規雇用労働者の基本給を引き上げたい | 賃金規定等改定コース |
| 正社員と非正規雇用労働者の賃金制度をそろえたい | 賃金規定等共通化コース |
| 非正規雇用労働者に賞与・退職金制度を導入したい | 賞与・退職金制度導入コース |
| 短時間労働者の労働時間を延長し、社会保険適用と収入増加を進めたい | 短時間労働者労働時間延長支援コース |
この記事では、キャリアアップ助成金の概要、主なコース、申請前に準備すべきこと、よくある失敗をわかりやすく整理します。
補助金・助成金の全体像を先に把握したい場合は、中小企業が使える補助金・助成金 完全ガイドも参考にしてください。
キャリアアップ助成金とは
キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の雇用安定と処遇改善を支援する助成金です。
対象となる労働者は、主に次のような人です。
- 有期雇用労働者
- 短時間労働者
- 派遣労働者
- パート・アルバイト
- 契約社員
- 嘱託社員など、正規雇用労働者とは異なる雇用区分で働く人
厚生労働省の案内では、キャリアアップ助成金は大きく「正社員化支援」と「処遇改善支援」に分かれます。正社員化支援には正社員化コース、処遇改善支援には賃金規定等改定コース、賃金規定等共通化コース、賞与・退職金制度導入コース、短時間労働者労働時間延長支援コースなどがあります。(厚生労働省)
この助成金の本質は、「人を採用したこと」ではなく、非正規雇用労働者のキャリアアップにつながる制度整備と実施です。
たとえば、次のような取り組みが対象になります。
- 有期雇用労働者を正社員に転換する
- パート・アルバイトの基本給を3%以上引き上げる
- 非正規雇用労働者にも賞与制度を導入する
- 正社員と共通の賃金規定を作る
- 短時間労働者の労働時間を延長し、収入増加につなげる
申請前に必ず必要な「キャリアアップ計画」
キャリアアップ助成金で特に重要なのが、キャリアアップ計画です。
厚生労働省は、キャリアアップ助成金を活用するには、各コースの取り組みを行う日の前日までに、労働組合等の意見を聴いて「キャリアアップ計画」等を作成・提出する必要があると案内しています。(厚生労働省)
つまり、正社員化や賃金改定を実施した後で、「助成金を使いたい」と考えても間に合わない可能性があります。
基本的な順番は次のとおりです。
- 対象となる非正規雇用労働者を確認する
- 就業規則・賃金規定を確認する
- キャリアアップ計画を作成する
- 労働組合または労働者代表の意見を聴く
- 管轄労働局へキャリアアップ計画を提出する
- 正社員化・賃金改定・制度導入などを実施する
- 一定期間の賃金支払い・雇用継続を行う
- 支給申請を行う
この順番を間違えると、実際に良い取り組みをしていても助成対象外になることがあります。
主なコース一覧
2026年度時点で、キャリアアップ助成金には複数のコースがあります。厚生労働省は、2026年度から「短時間労働者労働時間延長支援コース」を新設し、労働者を新たに被用者保険に適用させるとともに、収入増加の取り組みを行った事業主を助成すると案内しています。(厚生労働省)
| コース | 主な内容 |
|---|---|
| 正社員化コース | 有期雇用労働者等を正社員化する |
| 障害者正社員化コース | 障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換する |
| 賃金規定等改定コース | 有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を3%以上増額改定する |
| 賃金規定等共通化コース | 有期雇用労働者等と正社員の共通賃金規定を新たに規定・適用する |
| 賞与・退職金制度導入コース | 有期雇用労働者等に賞与または退職金制度を導入する |
| 短時間労働者労働時間延長支援コース | 社会保険適用とあわせて労働時間延長等により収入を増やす |
中小企業が最初に検討しやすいのは、正社員化コース、賃金規定等改定コース、賞与・退職金制度導入コースです。
1. 正社員化コース
正社員化コースは、有期雇用労働者等を正社員化する場合に検討しやすいコースです。
たとえば、次のようなケースです。
- 契約社員を正社員に転換する
- パート・アルバイトを正社員に転換する
- 派遣労働者を直接雇用して正社員化する
- 有期雇用から無期雇用、さらに正社員化へ進める
- 非正規雇用の優秀な人材に長く働いてもらう
正社員化コースで大切なのは、単に「名前だけ正社員にする」ことではありません。雇用区分、労働時間、賃金、賞与、昇給、退職金、職務内容、責任範囲などが、就業規則上の正社員区分に沿っている必要があります。
正社員化コースに向いている会社
正社員化コースは、次のような会社に向いています。
- 契約社員やパートの中に、長く働いてほしい人材がいる
- 採用難のため、既存スタッフの定着を重視したい
- 正社員登用制度を整備したい
- 現場リーダー候補を育てたい
- 外国人スタッフや若手人材にキャリアパスを示したい
- 非正規雇用中心の体制から、安定雇用へ移行したい
外国人スタッフの正社員化を検討している場合は、在留資格と業務内容の整合性も確認が必要です。詳しくは外国人材を雇用する企業が使える補助金・助成金ガイドも参照してください。
正社員化は、助成金のためだけに行うものではありません。本人の能力、業務内容、会社の人件費負担、今後の配置、評価制度を含めて考える必要があります。
正社員化コースで確認すべきこと
申請前には、次の点を確認しましょう。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 雇用契約 | 有期・無期・正社員などの区分 |
| 就業規則 | 正社員転換制度が明記されているか |
| 賃金 | 転換前後で賃金要件を満たすか |
| 勤続期間 | 対象労働者の雇用期間 |
| 労働時間 | 正社員区分と整合しているか |
| 社会保険 | 加入要件を満たす場合に適切に加入しているか |
| 出勤状況 | 対象期間中の勤務実態 |
| 転換手続き | 面談、試験、辞令、契約書変更などの記録 |
特に、就業規則に正社員転換制度がない場合は、事前に整備が必要になることがあります。
2. 賃金規定等改定コース
賃金規定等改定コースは、有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を改定し、3%以上増額した場合に検討できるコースです。厚生労働省の案内でも、このコースは有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を3%以上増額改定する取り組みとして説明されています。(厚生労働省)
このコースは、非正規雇用労働者をすぐに正社員化するのは難しいものの、賃金水準を改善したい場合に向いています。
向いているケース
- パート・アルバイトの時給を引き上げたい
- 契約社員の基本給を見直したい
- 最低賃金上昇にあわせて賃金制度を整えたい
- 人材定着のために非正規雇用の待遇を改善したい
- 正社員化の前段階として賃金制度を整備したい
最低賃金の引上げと設備投資を同時に進めたい場合は、業務改善助成金も合わせて確認してください。
注意点
このコースでは、「一部の人だけ個別に時給を上げる」だけではなく、賃金規定等の改定が重要になります。
たとえば、次のような整備が必要です。
- パート・アルバイト用の賃金テーブルを作る
- 契約社員の等級・職務ごとの基本給を明確にする
- 昇給ルールを就業規則や賃金規定に記載する
- 改定前後の基本給を比較できるようにする
- 対象者に改定後の賃金を実際に支払う
また、賃金規定等改定コースでは、職務評価の手法を活用した場合や、有期雇用労働者等に適用される昇給制度を新たに規定した場合に加算が設けられています。2026年度版パンフレットでは、これらの加算額が中小企業20万円、大企業15万円と示されています。(厚生労働省)
3. 賃金規定等共通化コース
賃金規定等共通化コースは、有期雇用労働者等と正規雇用労働者との共通の賃金規定等を新たに規定・適用する場合に検討するコースです。厚生労働省のページでも、処遇改善支援の一つとして、正社員と有期雇用労働者等の共通賃金規定を新たに規定・適用するコースとして案内されています。(厚生労働省)
このコースは、非正規雇用労働者の処遇を正社員に近づけたい会社に向いています。
向いているケース
- 職務内容が近いのに、正社員と非正規雇用で賃金ルールが大きく違う
- 同一労働同一賃金への対応を進めたい
- 非正規雇用労働者にも明確な等級制度を作りたい
- 将来的な正社員化に向けて賃金体系を整えたい
- 人材定着のため、処遇の透明性を高めたい
このコースでは、単に賃金を上げるだけでなく、正社員と非正規雇用労働者の賃金ルールをどう設計するかが重要です。
4. 賞与・退職金制度導入コース
賞与・退職金制度導入コースは、有期雇用労働者等を対象に、賞与または退職金制度を導入し、実際に支給または積立てを行う場合に検討できるコースです。厚生労働省の案内でも、有期雇用労働者等を対象に賞与または退職金制度を導入し、支給または積立てを実施するコースとして説明されています。(厚生労働省)
向いているケース
- パート・アルバイトにも賞与制度を導入したい
- 契約社員の待遇を改善したい
- 非正規雇用労働者の定着率を上げたい
- 正社員との処遇差を小さくしたい
- 長く働く人に報いる制度を作りたい
注意点
制度導入だけでなく、実際に支給または積立てを行う必要があります。
また、賞与制度や退職金制度を導入すると、助成金を受けた後も制度として継続することになります。将来の人件費負担も考えた上で設計することが大切です。
5. 短時間労働者労働時間延長支援コース
2026年度から新設されたのが、短時間労働者労働時間延長支援コースです。厚生労働省は、「年収の壁」への対応として、労働者を新たに被用者保険に適用させるとともに、収入増加の取り組みを行った事業主を助成するコースを新設したと案内しています。(厚生労働省)
このコースは、短時間労働者の労働時間を延長し、社会保険適用と収入増加を進める会社に向いています。
向いているケース
- パート従業員が年収の壁を意識して労働時間を抑えている
- 人手不足で、既存スタッフにもう少し長く働いてほしい
- 社会保険加入と収入増加をセットで進めたい
- 短時間勤務からより安定した働き方へ移行したい
- 扶養内勤務中心の体制を見直したい
注意点
社会保険の適用、労働時間、収入増加、本人の希望、会社の人件費負担を慎重に確認する必要があります。
労働者本人にとっては、社会保険料負担が発生する一方で、将来の年金や健康保険の保障が変わります。制度設計だけでなく、本人への説明も重要です。
外国人労働者にも使えるのか
キャリアアップ助成金は、外国人専用の助成金ではありません。
しかし、要件を満たす有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者であれば、外国人労働者の正社員化や処遇改善でも検討対象になります。
たとえば、次のようなケースです。
- 有期雇用の外国人スタッフを正社員に転換する
- 外国人アルバイトの基本給を賃金規定に基づいて引き上げる
- 外国人契約社員に賞与制度を導入する
- 外国人パートの労働時間を延長し、社会保険に加入する
- 外国人スタッフに長期的なキャリアパスを示す
ただし、外国人労働者の場合は、在留資格と業務内容の整合性を必ず確認する必要があります。
正社員化した結果、業務内容、勤務時間、雇用条件が在留資格に合わなくなると問題になる可能性があります。助成金の前に、在留資格、雇用契約、業務内容を確認しましょう。
外国人材の採用・定着支援に使える制度全体については、外国人材を雇用する企業が使える補助金・助成金 完全ガイドで詳しく解説しています。
申請の流れ
キャリアアップ助成金の基本的な流れは、次のとおりです。
- 対象労働者と対象コースを確認する
- 就業規則・賃金規定を確認する
- キャリアアップ計画を作成する
- 労働組合または労働者代表の意見を聴く
- 取り組み実施日の前日までに計画を提出する
- 正社員化、賃金改定、制度導入などを実施する
- 改定後の賃金を支払う
- 必要な雇用継続期間・賃金支払い期間を満たす
- 支給申請書と添付書類を提出する
- 労働局の審査を受ける
- 支給決定後、助成金が支給される
厚生労働省は、計画届や支給申請に必要な様式を申請様式ダウンロードページに掲載しており、制度見直しにより支給申請様式や支給金額は取り組みを行った日で変わるため、該当する様式をダウンロードするよう案内しています。(厚生労働省)
つまり、2026年度中でも、取り組みを行った日によって使う様式や条件が変わる可能性があります。申請時点ではなく、取り組み実施日に対応する資料を確認しましょう。
申請前に準備しておきたい書類
キャリアアップ助成金を検討する場合、次の書類を早めに整理しておくとスムーズです。
| 書類・情報 | 確認する内容 |
|---|---|
| 就業規則 | 雇用区分、正社員転換制度、賃金制度 |
| 賃金規定 | 基本給、昇給、賞与、退職金、等級 |
| 雇用契約書 | 契約期間、業務内容、労働時間、賃金 |
| 労働条件通知書 | 労働条件の明示 |
| 賃金台帳 | 改定前後の賃金支払い実績 |
| 出勤簿・タイムカード | 勤務実態、労働時間 |
| 対象労働者一覧 | 雇用形態、勤続期間、転換予定 |
| キャリアアップ計画 | 取り組み内容、対象者、実施予定 |
| 労働者代表の意見聴取記録 | 計画作成時の手続き確認 |
| 社会保険・雇用保険関係書類 | 加入状況の確認 |
| 辞令・転換通知書 | 正社員化や制度変更の記録 |
特に、就業規則と賃金台帳は重要です。
助成金申請では、「制度を作った」「賃金を上げた」と口頭で説明するだけでは不十分です。規定、契約書、賃金台帳、出勤簿などで実態を証明できる必要があります。
採用・定着戦略としての使い方
キャリアアップ助成金は、単なる「もらえるお金」として考えるより、採用・定着・人材育成の仕組みづくりとして考える方が有効です。
たとえば、次のような流れを作ることができます。
- パート・契約社員として採用する
- 6か月〜1年程度、業務適性を見る
- 評価基準を明確にする
- 一定基準を満たした人を正社員化する
- 正社員化後の賃金・役割・キャリアパスを示す
- 研修や昇給制度を整備する
- 定着率と生産性を高める
このように制度化すると、従業員にも会社にもメリットがあります。
従業員にとっては、「頑張れば正社員になれる」「賃金が上がる」「賞与や退職金制度がある」と見えやすくなります。
会社にとっては、採用難の中で既存スタッフを育て、定着させる仕組みになります。
よくある失敗
失敗1:キャリアアップ計画を出す前に実施してしまう
最も多い失敗は、正社員化や賃金改定を先に行ってしまうことです。キャリアアップ助成金では、各コースの取り組みを行う日の前日までにキャリアアップ計画等を作成・提出する必要があります。(厚生労働省)
後から助成金を使いたいと思っても、対象外になる可能性があります。
失敗2:就業規則に制度がない
正社員化、賃金改定、賞与制度、退職金制度などは、就業規則や賃金規定に明確に定める必要があります。
口頭で「正社員にします」と伝えただけでは不十分です。
失敗3:賃金台帳と契約書の整合性がない
申請では、雇用契約書、賃金台帳、出勤簿などの整合性が見られます。
契約書上の賃金と実際の支給額が違う、勤務時間と賃金計算が合わない、残業代の扱いが不明確、といった状態は避けるべきです。
失敗4:正社員化後の待遇が実態と合っていない
名前だけ正社員にしても、正社員区分の実態がなければ問題になります。
正社員の定義、労働時間、職務、勤務地、転勤、賞与、昇給、退職金などを整理しましょう。
失敗5:助成金のために無理な制度を作る
助成金を受けるためだけに、継続できない賃金制度や賞与制度を作るのは危険です。
制度導入後も人件費は続きます。将来の負担を考えて、無理のない制度にする必要があります。
失敗6:外国人労働者の在留資格を確認していない
外国人労働者を正社員化する場合は、在留資格と業務内容を必ず確認しましょう。
助成金の対象になり得るとしても、入管上の問題があると雇用継続に支障が出る可能性があります。
失敗7:不正受給リスクを軽く見る
厚生労働省は、不正受給について、偽りその他不正の行為により助成金の支給を受けたり受けようとしたりすることを指すと説明しています。不正受給の場合、不正に受給した助成金の全額返還、延滞金、受給額の2割相当額の納付、5年間の雇用関係助成金の不支給、事業主名等の公表などのリスクがあります。(厚生労働省)
助成金は、実態と書類が一致していることが大前提です。
他の助成金・補助金との違い
キャリアアップ助成金は、他の雇用・賃上げ関連制度と混同されやすい制度です。
| 制度 | 主な目的 | 向いているケース |
|---|---|---|
| キャリアアップ助成金 | 非正規雇用労働者の正社員化・処遇改善 | 契約社員、パート、アルバイトの待遇改善 |
| 業務改善助成金 | 事業場内最低賃金引上げ+設備投資 | 最低賃金に近い従業員がいる事業場 |
| 人材開発支援助成金 | 職務に関連する訓練・研修 | 業務スキル、日本語、IT、専門技術研修 |
| 人材確保等支援助成金 | 雇用管理改善・定着支援 | 離職率低下、外国人労働者の就労環境整備など |
| 賃上げ促進税制 | 給与増加額に応じた税額控除 | 利益が出ていて税額控除を使える企業 |
キャリアアップ助成金を選ぶべきか迷う場合は、次の問いで考えると整理しやすくなります。
対象は、非正規雇用労働者の正社員化・賃上げ・処遇改善か。
答えが「はい」であれば、キャリアアップ助成金を確認する価値があります。
一方で、設備投資と最低賃金引上げが中心なら業務改善助成金、税額控除なら賃上げ促進税制が近い場合があります。
申請前チェックリスト
キャリアアップ助成金を検討する場合は、次の点を確認しましょう。
- 対象労働者は有期雇用・短時間・派遣などに該当するか
- 対象労働者は雇用保険に加入しているか
- 就業規則に正社員転換制度や賃金制度があるか
- 賃金規定を整備しているか
- キャリアアップ計画を取り組み前日までに提出できるか
- 労働者代表の意見を聴いているか
- 転換前後・改定前後の賃金を比較できるか
- 賃金台帳と出勤簿を正しく管理しているか
- 社会保険の加入要件を確認しているか
- 外国人労働者の場合、在留資格と業務内容を確認しているか
- 支給申請の期限を確認しているか
- 最新の様式を使っているか
よくある質問
Q1. パート・アルバイトを正社員にした場合、対象になりますか?
要件を満たせば、正社員化コースの対象になり得ます。ただし、事前にキャリアアップ計画を提出し、就業規則に基づいて正社員転換を行い、転換後の賃金や雇用条件を適切に整備する必要があります。
Q2. 外国人スタッフを正社員化する場合も対象になりますか?
外国人専用の制度ではありませんが、対象労働者の要件を満たせば検討対象になります。ただし、在留資格と業務内容の整合性を必ず確認してください。詳しくは外国人材の雇用支援ガイドを参照してください。
Q3. 賃金を上げた後に申請できますか?
原則として、取り組み前にキャリアアップ計画等を提出する必要があります。厚生労働省は、各コースの取り組みを行う日の前日までにキャリアアップ計画を作成・提出する必要があると案内しています。(厚生労働省)
Q4. 就業規則がない会社でも使えますか?
正社員化や賃金制度の整備には、就業規則や賃金規定が重要です。常時10人未満の事業場では就業規則の作成義務がない場合もありますが、助成金を使うには制度内容を書面で明確にする必要があります。
Q5. 賞与制度を作るだけで対象になりますか?
賞与・退職金制度導入コースでは、有期雇用労働者等を対象に賞与または退職金制度を導入し、実際に支給または積立てを行う必要があります。制度を作るだけでなく、実施が必要です。(厚生労働省)
Q6. どの様式を使えばよいですか?
厚生労働省は、制度見直しにより支給申請様式や支給金額は各コースの取り組みを行った日で変化すると案内しています。支給申請時には、取り組み実施日に対応した最新様式を確認してください。(厚生労働省)
Q7. 不正受給になるとどうなりますか?
不正受給と判断された場合、助成金の全額返還、延滞金、受給額の2割相当額の納付、5年間の雇用関係助成金の不支給、事業主名等の公表などのリスクがあります。(厚生労働省)
まとめ:キャリアアップ助成金は「非正規雇用の人材を育てて定着させる制度」
キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善に取り組む事業主を支援する助成金です。
主なコースには、正社員化コース、賃金規定等改定コース、賃金規定等共通化コース、賞与・退職金制度導入コース、短時間労働者労働時間延長支援コースなどがあります。厚生労働省は、2026年度版のパンフレット・リーフレット・Q&Aを公開しており、短時間労働者労働時間延長支援コースも新設されています。(厚生労働省)
この助成金を検討する場合は、次の点を整理しましょう。
- 対象労働者が有期雇用・短時間・派遣等に該当するか
- どのコースが自社の取り組みに合っているか
- 就業規則・賃金規定を整備しているか
- キャリアアップ計画を取り組み前に提出できるか
- 正社員化や賃金改定の実態を証明できるか
- 賃金台帳・出勤簿・雇用契約書を正しく管理しているか
- 外国人労働者の場合、在留資格と業務内容に問題がないか
- 支給申請期限と最新様式を確認しているか
キャリアアップ助成金は、単に助成金を受け取るための制度ではありません。
本質は、非正規雇用で働く人に、正社員化、賃上げ、賞与、退職金、労働時間拡大などのキャリアパスを用意し、会社の人材定着と成長につなげることです。
助成金を目的に無理な制度を作るのではなく、自社に必要な人材戦略を先に考え、その取り組みに合うコースを選ぶことが大切です。
どの助成金・補助金が自社に合うか整理したい場合は、補助金診断も活用してください。